履歴書

　履歴書はあまり書いたことがない。まともに就職活動というものをしたことがないので、たぶんアルバイトのために2回ぐらい提出した記憶がある。

いまは履歴書を見るほうの立場になっている。
料理人の履歴書は、得意科目は体育と書いていることが多い。体力勝負なしごとなので体育はまあまあ好印象である。

面接のときにやたらがんばりますみたいな空気のやつはたいがい親が病気で仕事やめますと言ってやめていく。
はいはいわかったわかったと私たちもこの手のやめる理由は慣れっこである。
わかりながらも人手が足りないときは誰でもいいからきてーって感じなので採用する。
すぐやめられるけど。

採用してすぐやめていく子は家族が病気や事故やあるいは死んでしまったりという理由でやめていくが、むちゃくちゃなウソである。
この理由をきくたびに、うわ、また死んだ。っておもう。

料理雑誌なんかをみて、経歴などもチラッとみますが、同い年ぐらいで、コルトンブルーパリ校卒業、ラデュレに就職なんていう女の子をみると、なんてきれいな履歴書なんだろうと思う。しかも大卒とか。
履歴書にスピーカーをつけたらクラッシック音楽やﾎﾞサノヴァが聞こえそうである。

私の履歴書にスピーカーをつけたらたぶん、ハイウェイスターみたいな曲が聞こえるだろう。

中卒、高卒の料理人、昔やんちゃやった料理人なんてのはまさにうちのシェフ世代である。シェフの先輩の世代なんかはもっとやんちゃな人多い。
飲む打つ買うの職人さんも多かった時代。さぞかし厳しかったであろう。

携帯電話で、やめますと電話かけてくる子も多い。メールでってのもある。
しかも真夜中にである。自分主義もはなはだしくあきれるのだ。

が、こんなに多いと、これが今の普通なのかもと思うときがある。
そして増えるとおもう。